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ごみに関する豆知識

ごみは時代とともに変わる

~ごみとは何か~

「ごみ」という言葉を聞いて、あなたはどのようなものを連想するでしようか。
辞書で「ごみ」という言葉を引くと、「ちり。あくた。ほこり。土・砂・紙切れや台所のくずなどの汚いもの」とあります。しかし、私たちが現実に出しているごみは、もっと複雑で多様です。

企業が出すごみはひとまず置き、家庭から出るごみだけに絞って考えてみても、生ごみや紙くず、ほこりといった燃えるものだけてはなく、プラスチック容器、ペットボトル、空きびんやガラス、缶など、燃えないもの、家具や家電といった大型のものまで、実にさまざまです。 バブル経済が終焉を告げ、長びく不況、経済の混迷期を迎えた現在でさえ、私たちの周辺には物があふれ、一方で、多くの物が、日々、「ごみ」として、次から次へと捨てられているのです。 以前は買い替え時には下取りしてもらえたテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等々の電化製品、さらには自家用車までが、いまではこちらからお金を払い、「ごみ」として処分してもらう時代です

家電も車も次々とモデルチェンジし、一つのものを修理しながら長く使おうというよりは、故障したら、あるいは古くなったら、新製品を買う、というのが一般的な傾向といえるのではないでしようか。 ほかの人から見れば、まだまだ活用できると思えるものでも、所有者が「不要なもの」と判断すれば、それはすでに「ごみ」なのです。

廃棄物学会では、仮にごみを次のように定義しています。 「人間の生活にいかに価値のあるものであっても、所有者が不要なものとして排出した固形のものすべてがごみである」 「ごみ」の中身は、社会環境、時代、経済状態、個人の意識などによって、これからも、さまざまに変化していくごとでしょう。

さて、ごみは、広い意味で「廃棄物」に含まれます。 「廃棄物処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)によれば、廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚泥、ふん尿などの汚物や、自分で利用しなくなったり他人に売却できないために不要になったもので、液状または固形状のものすべて(放射性物質とこれにより汚染されたものを除く)のことをいいます。工場の煙突から排出されるガスや、自動車の排気ガスなどは気体なので、廃棄物とは呼ぴません。

ところで廃棄物は、その発生の仕方、性質や状態などの違いから、法律の上では、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に大きく区分されています。 また、大きさによって、「粗大ごみ」(大型の家庭電気製品、家具など)と「普通ごみ」に、また、処理方法の違いによって、「燃えるごみ」「燃えないごみ」「資源ごみ」などに区分されています。ごみと一言でいってもいろいろな分け方があるのです。

ごみ処理に関する法律は?

~より積極的な取り組みを目指して~

1970年に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)が制定されてから、廃棄物の処理は、この法律に基づいて行なわれていました。 しかし、1980年代の半ばごろから、廃棄物最終処分場の不足、廃棄物に含まれる有害物質の複雑化などの廃棄物問題が深刻化していくにつれ、従来の廃棄物処理法を大幅に改正する必要が出てきました。

廃棄物の処理を行なうためには、排出された廃棄物の処理について規定するだけでは対処しきれず、廃棄物をできるだけリサイクルするという観点や、リサイクルを進めるために製品そのものを見直す必要があるといった観点から、リサイクル促進に関する法律も必要になってきました。 また、オゾンホールや酸性雨といった環境問題への取り組みの強化が必要となり、環境問題の解決に向けて、基本的な考え方を法律で規定することも急務とされるようになりました。
このような状況の下で、まず、1991年(平成3年)4月には、廃棄物処理及びリサイクルに関し、「再生資源利用の促進に関する法律」(リサイクル法)が制定され、以下、下の図のようなスケジユールで、廃棄物、リサイクルについての法的基盤が整備されることとなりました。

これらの法制度は、廃棄物の適性処理およびリサイクルの促進に大きな成果をもたらすものです。

ごみに関する法律の年度表

内容
1954年 「清掃法」制定
1970年 「廃棄物の処理及び清帰に関する法律」(廃棄物処理法)制定
1991年 「再生資源の利用に関する法律」(リサイクル法)制定
「廃棄物処理法」の大改正
1993年 「環境基本法」制定
1995年 「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」
(容器包装リサイクル法)制定
1997年 「廃棄物処理法」改正

諸外国のリサイクル意識は?

~日本はリサイクル後進国~

ドイツでは、飲料水用の容器は返金付きで消費者から回収すること(デポジット制度)を義務づけています。 さらに、塩素系など有毒物質は廃棄物とせず、頑丈な容器に完全密閉し、地中深く保管しています。

また、アメリカでは、州によって違いますが、たとえばニユーヨークなどの街角には、自動販売機に似たリバース・ベンディング・マシンという機械が設置されています。これにアルミ缶を入れれば、缶代の引き換え券が出てきます。

リサイクル先進国スウェーデンでも、デポジット方式をとっています。
ちなみに、アルミ缶や繰り返し使うリターナブルびんの回収率が世界一といわれており、学校教育の中でリサイクルの重要性を教えるなど、子供のころからリサイクルに対する高い意識をはぐくんでいます。

また、フランスでは、「カナダの環境を破壊しないため」に「紙の自立権、外国からの紙は輸入しない」よう、紙の回収率を上げる努力をしています。

スイスも、省資源、省電力、ごみの滅量化の意識の高い国です。子供のころからごみ分別の習慣をつけさせ、ごみは10種類に細かく分別して出されます。  また、商店で売られている品物には、あらかじめ環境コストが含まれており、回収や処理のための費用にあてられています。  たとえば、空きびんは、居往地の一角に設けられた大きな回収器に入れられ、リサイクルされています。  
また、スイスの国民には、日本のようにむやみに物を捨てず、家庭でいらなくなったものは親戚、友人、知人に譲る、将来また必要になりそうなものは地下室などに保管しておくなど、物を大切にする精神が行き渡っています。

デンマークには缶ビールや自動販売機がありません。そして、トイレットペーパーはすべて再生紙です。

イギリスやドイツ、アメリカなどでは、商品を買うときに、「その商品の価格や便利さだけでなく、環境への影響や健康に対しての功罪」を考慮します。そして、「使ったあと、ごみとなったときに自然や環境にどのように影響するかも購入するときの大きな目安として考えよう」という意識が高いのです。  
さまざまな商品について、これらの点を一つひとつチェックしてまとめた本も出ていて、大勢の人に読まれています。商品を製造する側の企業も「環境への影響やごみになったときのことなど」も十分考慮して作 るようになり、そのことが企業イメージや商品の人気にもつながつています。  
また、これらの国々では、環境に関する法律も増えています。

これら諸外国と比較したとき、日本は、リサイクルに関して後進国だといわざるを得ません。もともと資源も少ないわが国は、まだ使用可能なもの、資源として再利用できるものを捨ててしまっている現状を早急に改め、リサイクル率をもっと高めていく努力をしたいものです。

諸外国のリサイクル事情

フランス

~自治体が収集、コストは事業主が負担~

フランスにおけるリサイクルの制度は、日本の容器包装リサイクル法のモデルになった制度だともいわれています。 フランスでは、1992年に「包装廃棄物に関する政令」を制定し、製造業者や流通業者などに「包装廃棄物の削滅に努めること」を義務づけています。 この政令では容器包装の製造・利用・販売事業者が、 ◎デポジットシステムにより自ら容器包装を回収し、再資源化する ◎国が認定したエコ・アンバーフージュ(Eco Emballage)社に費用を支払って回収、再資源化を委託する の二つのうち、いずれかを選択しなければなりません。
つまり、フランスでは収集はすべて自治体が行ない、その費用を事業者が負担するという形をとっています。

ドイツ

~違反すると罰金10万マルク~

ドイツの制度の特徴は、分別収集から再資源化まで、すべて事業者の責任で行なっていることです。そして、近い将来、容器包装だけではなく、廃家電製品、廃車までが事業者の責任で回収・リサイクルされるよう、制度を整える意向のようです。 1993年4月からは、包装の材料を再生・再利用が可能なものにすること、そして包装ごみの回収と再生を業者に義務づけています。また、飲料水用の容器は返金付きで消費者から回収すること(デボジット制度)を義務づけています。さらに、塩素系など有毒物質は廃棄物とせず、頑丈な容器に完全密閉し、地中深く保管しています。

スイス

~中古でますます倹約~

スイスでは、市民がいらなくなった家具を無料で出しているので、格安であるうえに、品揃えも豊富です。
このように、スイスでは、不要品をなるべくごみにせずに生かすよう、生活に密着した、市民レベルでのリサイクル活動が盛んです。
ドイツのように国レベルでの規制というより、リサイクルシステムの整備もすべてカントン(州)単位で行なわれることが多いのが、スイスの特徴です。さらに、カントンの中の市町村(コミューン)もそれぞれ独立性をもっているので、地域ごとに独自のリサイクルシステムが構築されています。

韓国

~預置金制度~

韓国では、1992年から、廃棄物に対する生産者責任の追及を目的として、飲食料品やタイヤ等を対象に、下図のような預置金制度を導入しています。 これは、対象品目の生産段階または輪入段階で、生産量や輸入量に応じて預置金を徴収し、製造業者や輸入業者が自社製品等を回収した場合に、その回収量に応じて預置金を返却する制度です。つまり、「生産者と国との間でのデポジット制度」ともいえるものです。 なお、韓国では、ビールやジュース等の瓶には空き瓶保証金制度(わが国のビール瓶のような制度)が義務づけられていて、これらの瓶は預置金制度の対象外となっています。

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